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名も無き物語

短編 この、莫迦が

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「お前にとって、俺の印象はなんだ」
「ん~~そ~だねぇ。すっごい美人さんで、すっごい格好良くて、3年の中で一番有名な先輩様でぇ~。超、ドSな先輩☆」
ああ、うざいなこいつ。
「語尾に☆を付けるな。莫迦が」
「いやぁ~でも先輩って、本当にエロい声してるよなぁ~」
「黙れ、莫迦が」
「俺、先輩を独り占め出来て嬉しいな~」
「煩い、この莫迦が」
「先輩、先輩は俺だけの物ですよねぇ~?」
ああ、消えてくれないか。
ああ、苛々する。
ああ、ムカつく。
ああ、顔に血管が浮く。
「おい、莫迦。いい加減にしろ」
「何をですかぁ~?」
「大体、お前は俺を独り占めにしてるんじゃなくてお前が俺に引っ付いてるだけだろうが。この莫迦が。それに、俺はお前の物になったわけじゃない。この莫迦が。お前がただ俺に付いて来てるだけだろうが。このストーキング莫迦が」
「おお、その最後のバカって所がいいなぁ~ゾクゾクするぅ~」
「黙れ変態莫迦が」
「先輩って、顔に似合わずにドSですよねぇ。いやぁ、そこはすげー淫乱だったら俺最高だったんだけどな」
「煩い莫迦が」
「でも、先輩のその声でバカって罵られたら興奮するなぁ。あ、先輩。今日俺んち両親が居ないんでヤりませんか?」
ああ、鬱陶しい!
俺は勢い良く振り返って莫迦を睨んで言う。
「いい加減にしろ! 大体なんだ、お前は! どうして俺に付き纏うんだ!」
「そんなの決まってるじゃないですかぁ~。俺、先輩が好きなんで」
溜息が出る。
俺が好き?
ふざけるな莫迦が。
俺はそんな興味もないし、まず莫迦は嫌いなんだ。
「断る」
「ああ、もっと冷たくして欲しいなぁ~。先輩、ドMな俺にもっと冷たい言葉を!」
ああ、なんで引かないんだこいつは。
ああ、なんでこうもくっついて来るんだ。
ああ、苛々する。
こいつは突然、俺の目の前に現れた。
それで好きだの惚れただの、愛してるだの抱いてくれだの、ふざけた事ばかり抜かす莫迦。
ああ、苛々する。
「俺に近寄るな、離れろ。俺に二度と関わるな」
「あ、俺の望みを叶えてくれた!」
ああ、苛々する。
お前のせいで俺は機嫌も悪いし、気分も悪い。
ああ、本当にムカつく。
俺は莫迦の両腕を掴んで、顔を近付けて言う。
「俺に好かれたいなら、態度で示せよ」
まぁ、こう言ったらこの莫迦は――
「どう、すればいいですか……?」
顔を赤くして、少し目を逸らしてそう聞いてくる。
ああ、ムカつく。
「――とにかく、その莫迦を直して来い」
それだけ言って、俺は莫迦を解放して足早に去る。
ああ、ムカつく。
ああ、苛々する。
なんで俺は、あいつに掻き乱されなくちゃいけないんだ。
なんで俺は、あんな莫迦が可愛いとか思うんだ。
なんで俺は、あんな莫迦の事が好きなんだ……?
ああ、苛々する。
なんなんだ、あいつは。
〝俺はドMなんで、先輩とは相性がいいんですよぉ~。あ、もちろん俺が突っ込まれる方で☆〟
ああ、ムカつく。
なんで俺は、あの莫迦の事を思い出してるんだ。
ああ、なんで――
なんで俺は、こんなにあいつの事が好きなんだろうか。
ああ、そうか。
莫迦なのはあいつもそうだが。
俺も十分、莫迦なんだ。
あんな莫迦を好きな莫迦。
ああ、ムカつく。
ああ、愛しいんだ。
あの莫迦が。
それからあの莫迦は、俺の元へ来なくなった。
これで、良かったのに。
鬱陶しかったはずなのに。
なんで、こんなにも寂しいんだ。
なんで、こんなにもあいつの顔が見たいんだ。
知ってる。
知ってるから、ムカつくんだ。
これがなんなのか知ってるから、苛々するんだ。
ああ、お前が好きだ。
だけどなんで、好きだって言えないんだ。
なんで、あの莫迦に想いを告げられないんだ。
どうして、冷たく接するんだろう。
ああ、ムカつく。
なんでこんなに逢いたいんだ。
ああ、苛々する。
なんでこんなに莫迦を想ってるんだ。
ただ、俺は莫迦なんだ。
お前と同じ、莫迦。
自分の想いに素直になれない、莫迦。
よし、ムカつくからお前に逢いに行ってやろう。
それで言ってやろうか。
むちゃくちゃにして、言ってやろうか。
お前が好きだって、言ってやろう――
「あ、せぇんぱ~い」
「――――」
「こんな所で何やってんですかぁ~?」
ああ、ムカつく。
なんでお前、何事も無かったかのように俺のお前に現れるんだよ。
ああ、苛々する。
なんでお前、いつもみたいに笑ってんだよ。
「お前を殺してもいいか…?」
「ん~、そうだなぁ~。俺殺したら先輩、一人になっちゃいますよぉ~?」
なんで無邪気に、そう返すんだよ。
お前も俺も、本当に莫迦だ。
「ああ、それよりも先輩!」
「――なんだよ」
「俺、バカじゃないっすから!」
「……は?」
「先輩が前に、バカ直して来いって言ったから直しましたよぉ~。ほら!」
そう言って莫迦が見せるのは、数日前にあった期末テストだった。
しかも、全教科満点の。
「へへっ。これで俺は莫迦じゃないっすよぉ~」
「それをずっと保てたらな、莫迦が」
ああ、なんで俺はそれでもこいつを莫迦と呼ぶ?
「でも俺、先輩に莫迦って呼ばれるの好きなんですよぉ~」
「――この、ドMが」
「だって先輩の莫迦って、愛しさが含まれてるからぁ」
驚いて、思わずお前を見る俺、
するとお前は嬉しそうににへへ、と笑う。
ああ、莫迦が。
「俺、知ってますよぉ~。先輩が俺を好きだって事。だって先輩、本当に俺の事が嫌いだったら、絶対に蹴りとか回し蹴りとか四の字固めとかするもん。俺、された事ないし♪」
だから、記号使うな莫迦が。
「俺、先輩の事はずっと前から知ってましたからぁ。先輩に近寄る人はみ~んな先輩に半殺しにされるって。でも先輩、俺にはそんな事しないし~。先輩、俺の事好きなんですよねぇ?」
「――知るか」
「素直じゃないなぁ~」
本当に、莫迦が。
満点取るために俺と逢わないようにしてた?
本当に莫迦が。
俺が、どれだけお前の顔が見たかったか。
知らないだろ。この、莫迦が。
「先輩。好きですよぉ~」
「――この、莫迦が」
そんな事を言う俺が嬉しそうだって思ったなら、もうそれでもいいや。
認めてやるよ、俺は莫迦が好きだ。
この、莫迦が。




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