スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←短編 この、莫迦が →短編 寒いある日の事
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 名も無き物語
もくじ  3kaku_s_L.png 秘密の物語
もくじ  3kaku_s_L.png 瑠璃子の呟き
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【短編 この、莫迦が】へ
  • 【短編 寒いある日の事】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

名も無き物語

短編 醜い俺

 ←短編 この、莫迦が →短編 寒いある日の事
嗚呼、自分でも思うよ。
俺はなんて醜いんだ。
嗚呼、なんでなんだ。
こんなにも苛々する。
俺は、きっとすごく汚くて醜い人間なんだ。



俺には、付き合ってる奴がいる。
すごく大好きで、心の底から大切で絶対に失いたくない奴が。
でもそいつは、俺なんかよりも仲の良い奴とか知り合いが多いんだ。
お前が知り合いと話してるだけで、ムカつく。
なんか知らないけど、胸ん中がざわざわして、胃が……。
なんていうんだ?
胃が痛くなる?まぁ、そんな感じだ。
って、これストレスか。
そんぐらい、苛々すんだよ。
お前は、全部俺だけのモンだ。
髪も、目も、鼻も、耳も、口も、腕も、足も、身体も、心も。
声も、思考も、俺を触る手も、お前の名前も、お前の吐息も。
全部全部、俺だけのモンだ。
俺だけのモンだ。
なのに――
「お~、久しぶりぃ」
「久しぶり」
「どれくらいだっけ?」
「もう半年くらいじゃない?」
「あれ、後ろにいるの友達?」
友達じゃねぇ。恋人だ。
「大切な人だよ。それより、どうしたの? こんな所で」
友達と言わなかっただけマシだから許すけどな。
〝俺以外の奴とは絶対に話すな〟
なんて事は絶対に言わない。
お前にもお前の人付き合いってのがあるんだろうから。
でも、本当は嫌なんだよ。
お前は、俺だけを見てればいいんだ。
俺だけを見て、俺だけに触れて、俺だけを愛せば良いんだ。
お前を俺で、縛り付けたい。
他の奴と話さないように、他の奴をお前の目に映さないように。
でも、それをしたらお前は――
どうするだろうか。
お前の全ては俺だけのもの。
一緒に過ごす貴重な時間こそ、誰にも邪魔されたくない。
なのに――
おい、お前。
何、俺の恋人に触れてんだよ。
「ああ、やっぱお前が良いよ。うちの弟、全然可愛げないからさぁ~」
「――酒でも飲んでたの?」
「ヤケ酒だよぉ~。もうあんな弟なんかよりも、お前の方が弟――もしくは兄だったら良かったのにぃ~」
そう言って、俺のモンに抱き付きやがる。
嗚呼、悪い。
俺は、すごく汚くてきっと最低な人間なんだ。
だから、もう我慢なんて出来ないんだ。
俺は鋭くお前の知り合いとやらを睨み上げて冷たく言い放つ。
「お前、いい加減にしろや。ちっと酒飲みすぎなんじゃねぇの? こいつから離れろや」
「はぁ?」
「聞こえないのか……? こいつから離れろって言ってんだよ!」
なぁ、この場合普通なら抱き付いてる奴の方の腕を掴むよな?
多分だけどよ。
でも俺は、少しお前にも苛付いてたんだよ。
だから俺はお前の腕を掴んでその場から離れる。
触る知り合いも悪いんだけど、触らせるお前も悪い。
俺だったら、他の奴にはこの身体触らせねぇから。
触られたらそいつを殴るし、蹴るし。
押し倒されたら絶対に巴投げするし。
俺は好きな奴以外には身体を触らせねぇし、好きな奴以外には名前だって呼ばせねぇ。
俺は、お前だけだから。
例えお前には俺以外の奴が居たとしても、俺にはお前しか考えられねぇから。
それと――
俺は、お前を失いたくないから。
こんなに一緒に居てもな、不安になるんだ。
お前が俺から、離れて行くんじゃないかって。
お前が誰かと話して笑う度に、俺はそう思うんだ。
俺なんかよりも、良い奴なんて腐るほど居るだろうし。
もしかしたら何時かは、俺からお前が離れて行ってしまうかもしれない。
俺は、それが怖いんだ。
俺は、色んなモンを失って来たから。
家だって、昔放火されて失ったし。
親だって、離婚して失ったりしたし。
友達だって、喧嘩したらすぐに居なくなったし。
猫だって、大好きだった奴は死んだ。
どんなに形のあるモンは手に入っても。
形の無いモンは、全部失ってしまう。
俺は、一人だったんだ。
そんな時に、お前が出来たんだ。
お前だけは、失いたくないって強く思ったんだ。
だから、お前が離れて行くのだけは見たくない。
だから、お前を俺で縛り付けたいって強く思うんだ。
お前には、俺だけを見て愛して欲しいんだ。
「ちょっ……痛いって!」
そこで初めてお前が痛がっている事に気付く。
でも、離したくなかったんだ。
離したら、お前が居なくなるんじゃないかって。怖いんだ。
信じてる。
お前の事を信じてる。
だからこそ、怖いんだ。
今までずっと、信じてた奴に何回も裏切られたから。
お前はそうじゃないってわかってる。
わかってるけど。
怖いんだ。
それでも怖い。
本当は、お前の後ろ姿すら怖いんだ。
俺を残していってしまうんじゃないかって。
信じてる。お前はそんな事しないって。
知ってる。お前には俺だけだってだって。
でも、お前は離したくない。
俺は、そんな奴なんだ。
本当は、すごい臆病な奴。
だから――
更に手を引いて、お前を抱き締める。
強く、強く。
失いたくない。
お前だけは、絶対に。
苦しいって言っても、お前を離さない。
もっと、お前を感じたい。
もっと、お前を近くに感じたい。
何回もお前には俺だけだって言って欲しいんだ。
何回もお前には俺だけを愛してるって言って欲しいんだ。
肩、震えてるの――気付いてるだろ?
腕だって、お前を失う事が怖くて全身震えるんだよ。
お前が誰かと話して触られるのを見て、俺はすげー嫉妬するんだよ。
俺は、すごく汚くて醜くて最低な人間で。
凄い臆病な奴なんだ。
そんな俺を、お前は――
「大丈夫。安心して。ちゃんと、好きだから。ずっと、大好きだから。何時までも、愛してるから」
優しく、そう言ってくれる。
「居るよ。ちゃんと、ここに居る。君の傍にずっと居るから。だから、安心して。だから――」
俺、本当に見っとも無い。
お前を抱き締めて見っとも無く泣く俺。
「泣いて、いいんだ。怖かったんだね。大丈夫。僕はずっと君の傍に居るよ。絶対に、離れないから」
お前の言葉は、優しいんだ。
そんなお前が俺は好きなんだ。
失いたくないくらいに。
手放したくないくらいに。
そういうなら、絶対に離れるな。
そういうなら、もう誰にも触らせるな。
俺だけを見てろ。
俺だけを愛して。
俺だけに触らせろ。
お前は、こんな俺を受け入れてくれる。
お前は、こんな俺を愛しいと言ってくれる。
お前は、こんな俺と一緒に居てくれる。
俺は――それがすごく嬉しいんだ。




関連記事


もくじ  3kaku_s_L.png 名も無き物語
もくじ  3kaku_s_L.png 秘密の物語
もくじ  3kaku_s_L.png 瑠璃子の呟き
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【短編 この、莫迦が】へ
  • 【短編 寒いある日の事】へ

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【短編 この、莫迦が】へ
  • 【短編 寒いある日の事】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。