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名も無き物語

短編 愛って、何なのさ?

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ねぇ、愛って――何なのさ。
家族って、何なのさ。
愛って何の為にあるのさ。
家族って何の為にあるのさ。
俺には、わからない。
親父が、何を考えてるかも。
俺自身、どうしたいのかも。
親父は――気違いだ。
感情の起伏が激しい人。
でもそんな親父が俺は大好きで。
だから、痛いんだ。
苦しいんだ。
普段は、すごく優しい親父。
でもすぐにちょっとした事で怒る。
すぐに物を投げて来たり。
言葉の暴力を、俺にぶつける。
それが嫌なんだ。
『お前なんかいらない!』
『ここから出て行け!』
『もう顔も見たくない!』
『お前なんて作るんじゃなかった!』
『お前なんか死ね!!』
――痛い。
痛いよ、父さん。
辛い。
辛いよ、父さん。
心が痛い。
大好きな父さんにそう言われるのが、一番痛いんだ。
父さんは、怒りが収まるといつも優しく俺を抱き締めて言ってくれるんだ。
『ごめん…。本当は、そんな事思ってないんだ。殴って…ごめん』
そう言って、俺の頬を優しく撫でてくれる。
思ってないなら、どうして言うの?
そう思っても、俺は言わない。
何でも我慢して、俺は育ったから。
我が儘だって、言った覚えだってないし。
母は、俺がガキの頃に死んだ。
事故に合って、死んだんだ。
それからは俺と親父の二人暮し。
俺は親父が好きだから、何をしても許されるんだけど。
でも。
でもね、父さん。
『殺してやろうか!』
俺、そろそろ限界。
良く言うじゃないか。
気の狂ってる奴等ばかりの所に放り込まれたら、いつかは自分も気が狂うって。
俺だって、その一人だよ。
こんな気違いと、四六時中ずっと一緒に居るんだから。
でも俺は親父が好きで。
好きだからこそ、殴れないで。
殴れない代わりに、俺は反論する。
例えば、喧嘩の原因について。
そしたら父さんは俺に物を投げて来たり、殴って来たり。
うん、もう限界。
大好きだから。
大切な家族だから。
たった一人の家族だから。
俺は親父を殺したくても殺せない。
俺は、親父が殺したいほど好き。
好きだから殺したい。
いつもの優しい父さんが好きだから。
この、別人みたいな父さんを殺したい。
『文句があるなら、何か言ってみろよ!』
文句?
いっぱいあるよ。
ありすぎて、俺には言えない。
言ったら、父さんが傷付くから。
なのに父さんは、俺が傷付く言葉をすぐに口にするんだね。
ねぇ、父さん。
父さんは、俺の事――ちゃんとわかってる?
『んな事知るか!!』
そう言って、俺を蹴る父さん。
ねぇ、父さん。
ちゃんと、俺を見て。
『うるせぇんだよ!!』
父さん――
「大好き――」
大好きだから、もう限界。
限界が来たら自分はどうなるんだろうって、わからなかった。
でも、一つだけわかってたのが。
限界が来たら俺は、父さんを殺そうとすると思うから。
それが、ずっと怖かったんだ。
大好きな父さんを、自分で殺すのが怖くて。
怖くて。
その衝動を抑えるために、布団の中でずっと泣きながら震えてたんだ。
父さんをどうやって殺そうかって考えてる自分が怖くて。
だから、俺は選んだんだ。
殺したくないから。
父さんに殺される道を。
殺したくないから。
父さんに殺されるんだ。
だから、俺は初めて抵抗した。
今までは投げられた物を受けるだけで。
蹴られても何も言わずに。
殴られても痛いなんて言わないで。
ただ、泣いてたけど――
「父さん、大好きだよ……」
笑いながら俺は、さっき投げられて結構痛かったラジカセを父さんに投げ付ける。
本当は、傷付けたくない。
でも、もう止まらない。
加減なんて出来ないよ。
父さんは、やられたらやり返すから。
それで、俺を殺してくれれば良い。
父さん――
俺を殺してよ。
この胸の痛みを、消してよ。
この胸の鼓動を、止めてよ。
俺を苦しみから、解放してよ。
部屋にある物を投げまくって。
部屋は荒れ果てて行って。
父さんは、本棚とかを倒し始める。
もう、足の踏み場なんてなくて。
俺はもう全身が痛みで軋んでいて。
痛くて。
愛しくて。
その中で、俺は考える。
愛って、何なんだろうって。
俺は、父さんから愛情なんて多分貰ってないから。
手を繋いだ事だって、抱き締めてもらった記憶だってないから。
父さんがいつもくれるのは。
笑顔くらいかな。
こんな気違いになる前は笑顔が綺麗な人なのに。
たった、数十分前までは笑い合ってたのに。
どうして、こうなったのかもうわからないよ。
とにかく痛くて。
家族って、なんだろうって思って。
父さんに殺される事を俺は願う。
懇願、する。
父さんは俺の声が聞こえてるのか聞こえてないのかわからなくて。
俺は多分、ずっと言ってて。
大好きだって、ずっと言ってて。
もう、何もわからなくなって。
力も抜けて来て。
その隙を突いて父さんが俺の目の前に来て――
父さんが血走った目で俺を見て。
その手に握られてる物を見て俺は。
微笑んだんだ。
それで、父さんに言ったんだ。
「大好きだよ、父さん」









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