スポンサー広告

スポンサーサイト

 ←短編 変態博士のらぶらぶ日記 →短編 瑠璃色の海で
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


もくじ  3kaku_s_L.png 名も無き物語
もくじ  3kaku_s_L.png 秘密の物語
もくじ  3kaku_s_L.png 瑠璃子の呟き
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【短編 変態博士のらぶらぶ日記】へ
  • 【短編 瑠璃色の海で】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit

名も無き物語

短編 瑠璃色の海

 ←短編 変態博士のらぶらぶ日記 →短編 瑠璃色の海で
とても、透き通るような美しい海。
その色はエメラルドグリーン。
でもエメラルドグリーンの海が空の色を移して瑠璃色になる時がある。
海が瑠璃色になった日は、とても良い事が起こる日だって事を――
僕は知ってる。



空が、綺麗なオレンジ色に染まる夕暮れ。
僕は自転車を漕いである場所に向かう。
そこは、僕が一番大好きな場所。
僕は何かあった時にはいつもそこへ行く。
そこはとても静かで、とても景色が綺麗な場所で。
一番、落ち着ける場所。
それに――
そこには、僕だけしか居ないから。
きっと、僕以外誰も知らない場所だから。
だから一人になりたい時とかにはよく行くんだ。
今日は――
ちょっと、嫌な事があったから。
ちょっとじゃ、ないかな……。
涙が出て来そうになったから、僕は空を見上げる。
丁度、良い時間帯にお気に入りの場所へ着いた。
自転車を道路脇に停めて。
自転車から降りて僕だけの特等席に行く。
木の生い茂る、ハイビスカスの咲いてるトンネルを通り抜けて。
空と海が綺麗に見える場所に着く。
足元には草が生えてて、寝転がる事が出来る。
ちょっと、草がチクチクするけど。
今となってはそれが逆に気持ち良い。
でもその場所に着いたら。
ちょっと、早かった。
まだ空は少しオレンジ色で。
瑠璃色の海と空を見る事はまだ出来なかった。
でも――
静かな波の音と、カモメの鳴き声が耳に届いて。
すごく、落ち着く。
落ち着く代わりに。
涙が溢れ出る。
僕はその場に膝を抱えて座り込んで。
涙を流す。
――今日、好きだった人にフラれた。
恋人に、要らないと言われた。
一番、言われたくない言葉の嵐を――
浴びせられた。
もう、どうしていいかわからなくて。
一人になりたくてここに来たけど。
本当は、一人になんてなりたくなくて。
でも、一人で。
家にも、正直帰りたくなくて。
ここで、心を落ち着かせたくて。
目を閉じて、耳を澄ませる。
静かな波の音だけを、聴く。
ここには、フラれた恋人を連れて来た事はない。
ここは、僕だけの場所であって欲しいから。
唯一、一人になれる場所だから。
目を閉じるとやっぱり思い出すのは恋人の事で。
いや――
恋人だった、人の事ばかりで。
思い出す度に、涙が一つ二つって落ちて行く。
すると。
バシャン――
静かな、波の音とは違う音が聞こえた。
何かが跳ねるような……。
バシャン――
でも、その音は不快な音じゃなくて。
何処か、心地良くて。
その音にしばらく耳を傾けてたけど。
その音も聞こえなくなって。
音が聞こえなくなってから、少し気分が和らいだ。
人魚でも来て、僕の心を癒してくれたのかなって思う。
涙を拭いて。
僕は顔を上げてみる。
すると空も海の色も、瑠璃色になってて。
空には、点々と星が見えて。
綺麗な満月も見えて。
波の音が静かに耳に届いて。
とても、癒される。
目を閉じて心を落ち着かせて。
気が付いた時。
目を開けると空はもう真っ暗になってて。
星と月がすごい綺麗に見えて。
波の音も涼やかに耳をくすぐって。
そこでようやく気付く。
僕の傍に、誰かが居てくれている事に。
その人の方を見てみると。
月明かりに照らされて、髪の雫が滴るのを見て。
綺麗だなぁって思う。
それに隣に居る人は水着姿で。
一瞬、本当に人魚が傍に居るのかと思った。
僕がその人魚に見惚れていると。
人魚が、僕の方を見た。
すごく綺麗な人で。
本当に自分と同じ男とは思えなくて。
僕は一瞬、言葉を失った。
「――ここ、良い景色だな」
人魚は、そう言った。
確かお伽話に出てくる人魚って、喋れないんだよね?
人の姿になる代わりに、声を失った。
って事は、今目の前にいるのは人魚じゃないんだ。
少しそう思ってて。
「瑠璃色に見える海、か。中々綺麗なもんだな。空の星と、綺麗な満月。静かな波の音と、瑠璃色の海――幻想的だな」
目の前に居る男は。
まるで唄うようにそう言った。
男の声も本当に透き通るくらいに綺麗で。
もしかしたら、人魚の生まれ変わりじゃないのかって思えた。
「ここ、僕のお気に入りの場所なんだ」
「俺もここ、気に入った」
「僕しか、知らない場所だよ」
「俺も今日知った」
「ここに居たいなら、僕の許可を取らないとダメだよ」
だって、ここは僕だけの場所だから。
例え綺麗な人魚でも、何も言わずにここには居て欲しくない。
「じゃあ、許可をくれ。俺、ここに居たい」
思わず見惚れる容姿。
いや、それは容姿のせいだけじゃない。
背後に綺麗な星空と満月。
耳には心地良い波の音。
本当なら、ここに居ていいのは僕以外の人間は許されない。
僕がそう決めた。
ここは、僕だけの場所。
僕の、癒しの場所。
泣きたい時や、心や頭がモヤモヤした時とか。
人には絶対に見られたくない顔をする時に来る場所。
もちろん、嬉しい時とかにも来るけど。
ここに、誰かを入れる事は嫌だ。
嫌な――はずなのに。
「いい、よ」
僕は、いつの間にかそう答えていた。
それが、ここに初めて自分以外の人間を許した時の事。
それから僕はたまにしかその場所には行かなくなった。
まだ、心は癒えなかったから正直の事を言えば。
毎日でも、あの場所に行きたかった。
でもあの人魚が居ると思ったら行けなくなって――
だけど僕はその場所に向かった。
人魚に会わない事を祈って。
僕は癒しの場所に着いて。
そこには、人魚は居なかった。
その代わりに、綺麗な瑠璃色の海が。
そんな海を眺めていると。
自然と涙が頬を伝う。
ああ、未練たらしい自分が嫌だ。
それでも、まだ大好きなんだ。
あの人が、大好きなんだ。
彼の傍に居たいと思うんだ。
「――ホント、情けない」
だから、言い訳をする。
涙が出るのは、小波が優しいから。
悲しい気持ちになるのは、空の色が綺麗過ぎるから。
僕はそんな言い訳をする。
その時だった。
「お前、前に来た時も泣いてたよな」
人魚の、綺麗な声が聞こえた。
まるで、唄うかのような綺麗な声が。
僕は驚いて涙を拭いて言う。
「海の綺麗さに感動したんだよ」
「嘘付け。感動したならそんなに悲しそうな顔はしないだろ」
人魚の方を見てみると。
やっぱり水着姿で髪には月に照らされて輝く雫が。
「――人魚?」
「は?」
「海から、来たんでしょ? もしかして、人魚?」
「はっ、まさか。こんな人魚が居るかってんだよ」
「綺麗じゃん。人魚みたい」
「人魚、ねぇ。初めて言われたな」
「何処から来てるの?」
「海」
「やっぱり」
「泳いでるんだよ。ちょっと休憩に来たら、ここに辿り着いた」
やっぱり、人魚だ。
この人を例えるなら、やっぱり人魚だ。
人魚は、ちょっと僕の方を見て。
くだらない話を始めた。
今日泳いでたら不思議な魚を見ただとか。
軽く足を攣っただとか。
そんな、どうでも良い事を。
そこで、僕は気付く。
きっとこの人魚は、僕を元気付けてくれようとしてるのだと。
それに気付いてから。
ここにこの人魚が居る事が、とても似合うのだと気付いた。
この人魚なら、ここに居てもいい。
だから僕は人魚の存在を認めた。
それから僕は毎日のようにあの場所に向かった。
すると毎日のように人魚と会った。
人魚と話している内に、色んな事を知っていった。
「へぇ、俺達誕生日一緒なのか」
「ちなみに聞くけど何歳?」
「――24」
「見えない」
「老けてて悪いな」
「いや、そうじゃなくて。若く見えるって事」
「マジか」
「少なくとも僕と同い年くらい」
「高校生かよ」
そう言って人魚は笑う。
どうやら、僕と人魚は誕生日が同じで。
すごく気が合う。
僕は同じ誕生日の人と逢うのは初めてじゃないから別に何とも思わなかったけど。
人魚は運命だとか言ってたけど。
そんな中、急に人魚が。
「それで、お前はどうしてそんなに悲しそうな顔してるんだ?」
「え……」
人魚は、僕の顔を覗き込んでそう聞いてきた。
綺麗に整った顔が、すぐ近くにある。
「そんな、悲しそうな顔してる?」
「初めて会った時から、ずっとそうだ」
確かに、人魚はどうして泣くって聞いてきたりしてたし。
元気付けてもくれた。
「言ってくれ。そうしたら、少しは楽になるだろ?」
「――泣いたら、ごめんね」
僕は、人魚に話した。
好きだった人にフラれたって事を。
今でも、その人が好きだって。
どんなに一番言われたくない。
一番傷付くような言葉の嵐を浴びせられたって。
僕は、あの人が大好きなんだ。
そして僕は、泣いてしまった。
まだ、好きで好きで好きで――
好きで堪らないって、泣いてしまった。
すると、人魚は。
僕を抱き締めてくれた。
優しく。
でも、強く強く抱き締めて来た。
少し苦しかったけど。
人魚の優しさが、伝わって来てまた涙が溢れてきた。
人魚は悲しげな声で、言ってきた。
「その恋人の目――覚まさしてやるよ」
僕には、人魚の言葉の意味がわからなかった。
でも、これだけは覚えてる。
涙で歪んだ視界の中で。
綺麗な流れ星が見えたんだ。
それを、僕はすごく覚えていた。



その次の日、急に人魚があの場所に来なくなった。
不思議に思っているのも束の間。
家に帰る途中で、好きな人に逢った。
恋人だった人に、偶然逢った。
いや、それは偶然じゃなかった。
恋人だった彼は、僕に謝ってきた。
そして、もう一度僕とやり直したいって。
僕にとってその言葉はすごく、嬉しい言葉だった。
でも、どうしてだろう。
人魚の事が凄く気になった。
そのせいか、すぐに頷けなかった。
すぐに、答えを出せなかった。
思い浮かぶのは人魚の事ばかりで。
その日僕は家には帰らなかった。
どうしても、人魚に逢いたかった。
最後の人魚の言葉が、すごい気になった。
まさか――
僕は、ずっと人魚と逢った場所で人魚を待った。
でも。
人魚は、来なかった。
いつまで待っても、人魚は来なかった。
ああ、なんて言う事だろう。
お伽話の人魚は、愛しい人のために泡になって消えた――
まさか。
あの人魚は、僕と恋人の仲を取り持ってくれたのだろうか。
僕の幸せを祈って。
僕のために消えてしまったのだろうか。
「――やっぱり、人魚なんだ」
そして、僕は気付く。
いつの間にだろうか。
人魚は僕の心に住み着いていて。
僕の心を人魚が埋め尽くした。
僕は、今更気付く。
人魚の事が、好きなんだって事に。
でも、その人魚はもう僕の傍には居ない。
その日、瑠璃色の海が嘘を付いた。
空も海も瑠璃色になったら、良い事がある。
――嘘を、付いたんだ。
嗚呼、どうしてあなたは。
人魚だったのだろうか――




関連記事


もくじ  3kaku_s_L.png 名も無き物語
もくじ  3kaku_s_L.png 秘密の物語
もくじ  3kaku_s_L.png 瑠璃子の呟き
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
  • 【短編 変態博士のらぶらぶ日記】へ
  • 【短編 瑠璃色の海で】へ

~ Comment ~

綺麗なお話で・・・。

お久しぶりです、久遠様。
参上しました。
参上して、速攻でコメントをしてしまう私。
読みながら、綺麗な場所に妄s・・・想像してしまい、泣きそうに。
傾く夕日と、瑠璃色の海。ハイビスカス・・・。
綺麗な場所と、久遠様の文字にキュンときました。
人魚も思わず、来てしまう様な美しさに、私も思わず飛び越えて行ってやろうかなって。
思いっきり、飛び込んでやろうかなって。
そんな風に想いながら、風の音まで聞こえて来そうな物語が、純粋に好きでした。
もう、ゴホン・・・俺得で御座いました。
よし!!次も萌えて参ります。
コメント欄、埋めてしまおうホトトギス。

Re: コメントありがとうございます!

はい、お久しぶりですユーリカンさん。
参上――嬉しい限りで御座いますww
即コメ、嬉し過ぎて堪りませぬ!
あれ、口調がww
妄想!?ww
いや、想像かw
泣きそうになってくれて、嬉しい限りです。
キュンっ!?w
う、嬉しい限りですぅ・・・w
飛び越え宣言!wwww
はい、どうかあの世界に私も行けるなら行きたいです。
そこで素敵な人魚と出逢いたいです。
素敵な時間を共に過ごしたいと思っております。
俺得で良かったですww
はい、コメント欄を埋め付くちてくださいww

綺麗な話ですね

久遠瑠璃子さんの考える話は、綺麗なものなんですね。
自分も気に入りました。この話を。
人魚はやっぱり、人魚だったんですね。
自分、人魚も好きです。
もちろん主人公も好きですよ。
でも、最後は悲しかったです。
どうかハッピーエンドで終わって欲しかったです。
だけどもう一つ瑠璃色の海があったので、そっちも見ようと思っています。
出来ればそっちの方にもコメント残したいと思いますので。
それでは、また来ます。

Re: コメントありがとうございます!

またもやコメントしてくれてありがとうございます。
綺麗、ですか…?
そう言ってくれると嬉しいです。
瑠璃色、人気高いなぁww
まぁ、私も気に入ってる話なのですがw
はい、人魚は人魚です。
本当はこの話、何回も書き直したんですよ。
リメイクを何回もして、自分の納得のいく形になったのがこの話だったんです。
ですから、人魚も少年――
もう少年でいいやww
少年も好きになってくれると嬉しいです。
私も終わるならハッピーエンド派です。
でも私は若干邪道気味な話を書く人間なので、バットエンドな話もたまに書きます。
それに私は対になっている話、視点が違う話が好きなのでそうやって書かせてもらいました。
そっちではハッピーエn
いえ、これは言わないでおきましょうww
もうほとんど言っていますがww
はい、それではまた来てくれる事をお待ちしております。
――あれ、日本語可笑しいwww
はい、それではまたお越しくださいませ。
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【短編 変態博士のらぶらぶ日記】へ
  • 【短編 瑠璃色の海で】へ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。