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名も無き物語

短編 すれ違いの中で

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今日も俺は頑張る。
この仕事が終われば、愛しい人に逢えるからだ。
仕事が終われば、すぐに待ち合わせの場所に行って愛しい人を待つ。
それが俺の唯一の愉しみ。
それが俺の生きる理由。
お前と逢えるなら、俺はどんな事だって出来る。
例えコンビニバイトで店長に無理難題言われたってこなしてやる。
お前とさえ話せるならどんな事でも耐えられる。
そう――
どんな事だって。
「じゃ、上がります」
「お疲れぇ~」
「明日、早朝だったよな?」
「はい」
「七時間しか眠れないって、大丈夫なわけ?」
「――大丈夫です」
お前と居れる事を考えれば辛くない。
それが俺の働く理由。
それはお前と一緒に旅行とか、色んな場所に行きたいから。
紅葉を見た事ないって言ったお前に見せてやりたいから。
寒いの苦手だって言ってたけど、一緒に北海道とか行きたいから。
話をする度に一緒に行きたい場所が増えていった。
お前は休みなんてそう簡単に取れないだろうから。
唯一の休みの日とかに行きたいとか思ってて――
でも、一番の理由は。
お前に、無理をさせたくないからだ。
今までずっと、お前は働いて働いて。
働き続けていたんだから、今度は俺が働く番だって思った。
でも、そのせいで最近悩み事が出来た。
お前との待ち合わせ場所で、俺は待つ。
すごく寒い、息が真っ白になる寒さの中。
俺はお前が来るのを待つ。
いつもお前は来ると息を切らせながら。
『ごめん、遅くなった!』
そうやって、言うんだ。
お前は仕事が忙しくて、俺と逢えるのは一週間の中で二日だけ。
一緒に暮らしたいけど、俺はまだそこまで仕事で稼げてないから無理だし。
バイト始めた頃はまだ余裕で週に四回逢ってたりしたけど。
俺の方が、無理になってきた。
一日だって話さないと、本当は足りない。
でも寝ないでお前と話してると、俺は多分すぐに倒れると思う。
今まで働いた事もねぇ、引き篭もりが急に仕事始めて急に仕事三昧になったんだ。
それを知ってるからお前も、逢う日が少なくなっていくのを許す。
我が儘、言っても相手に無茶させるだけだと多分俺もお前も思ってるから。
そこで、問題がある。
今は週に二日逢っているのだが――
今度から週に一日しか逢えないかもしれない。
俺が代わりに入った人がもうやめる。
すると俺はその人のシフトになる。
そのシフトを聞いて一瞬戸惑った。
早朝が六時から九時。その後に十七時から二十二時のシフト。
朝は五時起きだ。
それが次からは月曜日から木曜日まで続く。
逢う日は木曜日だからギリギリ逢える。
前までは休みは最低二日あったのに次からは――
一日しか休みがない。
それが、就職活動では当然なのかもしれないが。
まだまだ世の中の事を知らない俺にはどうかわからない。
ただ、キツイとだけは思う。
睡眠時間的に考えても。
お前と逢う――時間を考えても。
今日はその事を話そうと思っていた。
きっとお前は俺がそうやって言うと。
『そっかぁ……。でも、頑張ってるからね。俺も頑張るから、平気』
――全然、平気じゃねぇくせに。
口から吐く嘘には、すぐに気付ける。
少なくとも、俺は嫌だからだ。
だけど、どんなに嫌だって言ってもどうにもならないから。
結局はそう言うしかない。
相手に、嫌われないためにも。
ふと、俺は時計を見る。
――来る目安の時間は既に過ぎていた。
最近来る時間が遅いし、来た時の息の荒さからしてかなり向こうも無理してるんじゃないかって思う。
そこで、少し思う。
一日しか、逢えないし話せない。
そんな事やってたら――
突然、ケータイのメール音が響く。
嗚呼、開けたくない。
見たくない。
でも俺はケータイを見てしまう。
そこに書いてある事を目にして、胸が痛む。
まるで、心を針で刺されたような鋭い痛みがする。
『ごめんなさい! 今日はちょっと接待があって無理そうです……。帰っても十二時くらいになりそうなんでまた今度でもいいですか?』
「――――」
我が儘、言いたい。
待つから。
来るまで待つから。
本当は言いたい。
でも、そんな事を言ったってお互い無理するだけ。
だから俺は、こう答えるしかない。
『わかりました。じゃあ次は木曜日ですね。俺も明日早朝が入ってて五時起きなので。では、頑張ってください。良い夢と良い一日を過ごしてください。それではおやすみなさい』
いつもはもっと、優しい返信が出来るけど。
今はちょっと、出来ない。
――寂しい。
自分でも送ったメールを見て苦笑する。
メールでだけ、我が儘を見せたっていいだろ?
文章には出さないけど。
本当は逢いたいんだって、伝わればいい。
冷たいと思われるだろうけど。
――逢いたい。
それから少し思う。
恋人同士で一番いけないのって、これだけ思う。
すれ違い。
お互いに忙しくなって。
逢う時間もなくなって、そのまま終わる。
よくあるパターンだ。
そういうのって、よく他に好きな人が出来るのが多い。
――――――
俺はお前にそんな心配はしない。
俺はお前にとって、初恋の相手だから。
お前は俺以外に今感じてるような感情は持った事が無いと言ってた。
実際の恋に関しては、知らねぇけど。
まだ俺達は、お互いの事を知らないような気がする。
そう思うと、俺は自分でも酷いと思う事を思ってしまう。
俺達は、釣り合わないんじゃないかって。
俺達は、合わないんじゃないかって。
そして、一番最低な事を考えてしまうんだ。
このまますれ違ってたら、俺達はこのまま終わってしまうんじゃないかって――
そう考えて、胸が痛む。
離れたくない。
ずっと一緒に居たい。
だから俺はそのために頑張る。
お前に逢える事を糧に頑張る。
それが、俺を突き動かす。
お前のためだと思えば、何でも出来る。
でも、何処かで聞いたような気がした。
疲れたとか、釣り合わないとか一瞬でも思ったり感じたりした時はもう終わりだって。
そう思っていると――
自然と涙が頬を伝っていた。
その事に自分でも驚く。
嗚呼、女々しい……。
逢いたくて、愛しくて泣くなんてよ。
嗚呼、愛しい……。
こんなに愛しいのに、すれ違う俺達。
そんなの本当は、嫌だ。
我が儘を言いたい。
でも、言えない。
『今日はこれで終わり』
そう言って俺に手を振って、俺の前を去ってしまうその背中を――
追い掛けて、抱き付いて引き止めてしまいたい。
そのまま、現実も何もかも忘れて何時までも一緒に居たい。
「ふっ……ぅ……」
涙が次から次から、零れてくる。
嗚呼、逢いたい。
嗚呼、話したい。
嗚呼、触れたい。
嗚呼、愛しい。
感情が溢れてきて、止まらない。
好きだから、離れたくない。
好きだから、無理をさせたくない。
好きだから、離れてしまう。
距離を置いたら、きっと心までも離れてしまう。
永遠の愛とか恋なんて、現実には存在しないと思ってる自分が居る。
愛や恋なんて、所詮幻。
一時的な、甘い魔法。
そんな事を考える俺は、捻くれてると思う。
ああ、不器用なんだな……。
恋って、すごい不器用なんだ。
すれ違いなんて――
俺は絶対に、嫌だ……。









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~ Comment ~

悲しかったです

読みました。
すれ違いは、悲しいですね。
会いたいのに会えない。
主人公の気持ちが痛いほど伝わりました。
主人公には恋人さんと幸せになって欲しいです。
悲しい話では久遠瑠璃子さん独特の色を感じるような気がします。
久遠瑠璃子さんの話を読んでいると、すごい世界観で。
その世界観に惹き込まれていきます。
まだ全部は読めていないんですけど、見てみたら更新してあったのでコメントしました。
またコメントさせてもらいます。

逢いたいですよね。

逢えなくて、逢いたくて、でもやっぱり逢うのが難しいから、どうしてもきついですよね。
無理とか我慢とか、沢山あって辛いですよね。
仕事って、避けては通れないですし。分かって居ても、やっぱり少しでも逢ってお話したいって、そう思うのが普通ですよね。
だから、どうかもっともっと我が儘を言っても良いのになぁと。
メール打つ相手もきっと、そういうの想ってしまうんじゃないかなぁと。
そりゃ、仕事は放棄できないけどもwww。
それでも、そういう我が儘言ってしまっても多分、時々は良いんじゃないかなぁと思ったり。
相手も絶対、逢いたいの我慢して、あたふたしてそうなので。
でも、人間って個体なので。擦れ違いってどうしても起きちゃうと思うんです。
そういう擦れ違いを、お互いに気付いていって、早くもっともっと逢える日がくれば良いのに。
早く、たくさんたくさん旅行に行けば良いのに。
そんな風に想ってしまえました。

・・・あ、凄く真面目に返したけれど。
それでも打ってしまいたくなったのでwww。
う~ん、でも何を書いてんのか分からなくなった(笑)
意味の分からない文章、失礼しました。また、書きますね。

Re: コメントありがとうございます!

また来てくれてありがとうございます。
そうですね。
すれ違い、私は大嫌いです。
どんなに愛しくてもそれが伝えられないのですから。
どんなに傍に居たくても居れないんですから。
彼の気持ちが伝わってくれると、嬉しいです。
ハッピーエンド……ですか。
では、今度書いてみましょうかねw
そうですね、あの二人のハッピーエンドを今度書ける時に書いてみようと思います。
そして銀狼さん、嬉しい言葉を本当にありがとうございます。
はい、それではお待ちしておりますね。

Re: コメントありがとうございます!

コメント、ありがとうございます。
はい、そうですよね。
お互いの事を考えれば無茶はさせられないですし。
でも、我が儘は言いたい。
そんなじれったい思いがあるんですよね。
恋人がそう思っているのを知っていながらも主人公は何処か遠慮してるんでしょうね。
相手の事を大切に想っているから。
だからこそ、自分の本当の想いを隠しちゃうんじゃないでしょうか。
恋人、そうだと嬉しいですねww
必死に、逢いに来ようとしてくれているんですねw
そうですね。
一緒に、色んな所へ行ってしまえばいいのにね。
幸せになればいいのに……。
よし、わかりました。
この話の続編を書きます。
出来ればハッピーエンドな話にしようと思います。
って、私もガチコメしちゃってましたがww
まぁ、そういう時もありますよ人間ww
いえ、ちゃんと受け止めましたから。
そして今朝ブログのコメント欄を見て驚いた私ww
コメント欄がお二人のコメントで埋められておりましたww
ああ、嬉しいw
ああ、驚いたww
はい、またコメントくれると嬉しいですw
ではまたのお越しをお待ちしております。
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