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名も無き物語

短編 手紙

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本なんて読まない俺は、久しぶりに本を開いた。
それで見つけた。
数年前に友人から借りていた本の間に、こんな手紙が入っていた。
『拝啓、君へ。
突然手紙なんて書いてごめん。驚いたよね?
てか君は絶対に僕が手紙なんか書かない人種だと思ってるよね?
一応書いておきます。
僕も人ですから、手紙くらい書きますよ。
でも僕の場合は、大切な事を伝える時にしか書かないけどね。
例えば……感謝の気持ちとか、悲しい時とかに。
手紙は、伝えたい事を一番伝えられる物だから。
それはどうしてだと思う?
答える時間を与えようか。
じゃあ10分ね。
10分後に下の答えを見るように。

答えは――
手紙を書いた人の想いが宿るから。
僕はそう思ってるよ。
だって字というものは、書く人によって違うだろう?
文字は、書いた人を表すものだから。
だから嬉しい時に字を書いたら、なんとなく嬉しさが伝わってくる。
悲しい時に字を書くと、僕の場合は字が小さくなる。
あと、字が綺麗になる。
君には、この手紙に僕のどんな想いが籠もってると思う?
僕は、君に何を伝えたいと思う?



僕はね、君の事が好きなんだ。
初めて逢った時からね。
あ、今君。ラブレターかよって思ったでしょ。
しかも捨てようとしてるでしょ。
もう少し読んでよ、頼むから。
じゃあ、話を戻すね。
僕、本当の事を上手く伝えられないんだ。本当は。
だから手紙を書く時だけは素直になれる。
君の事が、好きなんだ。
世界中の誰よりも――
クサい事書いてるけど――これが僕の中にある君への想いなんだ。
君が好きで堪らない。
ずっと一緒に居たい。
君に触れたい。
ずっと、そう思ってるんだ。
それは今もだよ?
僕はずっと君を愛してる。
例え世界が終わっても。
ずっと君を愛してる。
魂だけになっても、君の傍に居たい。
そんな事を僕は考えているよ。
これが、君への手紙。
想いと気持ちを込めた、君へのメッセージ』
そう、書いてあった。
俺はそれを見てすぐにその手紙をゴミ箱の上に運ぶ。
――そういえば、こんな奴がいた。
すごく仲のいいダチがいた。
すっげー素直じゃない奴が。
つーかアイツ、自分の事――僕とか呼んでたのか。
俺の前じゃ、俺ってフツーに呼んでたじゃねぇか。
ゴミ箱の上に手紙を突き出す。
手を離せば、手紙はゴミ箱の中に入る。
――そういえば、アイツ当時すげーこの本読むように言ってきてたな。
それでも読まなかったけど。
何年前だっけ?
もう、9年か……。
アイツが死んで5年。
――何、こいつ俺の事好きだったわけ?
つかなんだよ、この手紙。
字、汚くて読めねぇし。
「――捨てよう」
手を放したいのに、放せない。
確かアイツ、俺に懐いてた。
どんなにウザイって言っても、俺に付いて来た。
「――なんで、だろうな」
なんで今更見つけたんだろうな。こんな物。
なんで俺は、早くこれを見つけなかったんだ。
アイツ――結局は俺の答え聞かずに死んだのかよ。
「なんだよ、それ……」
開けた窓から、風が吹いてカーテンを揺らす。
俺しかいない部屋で、俺はゴミ箱の前に立ち尽くす。
そして――力なくその場に座る。
「なんで、気付かないんだよ…」
俺も、お前も――
「なんで、言わなかったんだよ…?」
俺も、お前も――
涙が、自然を頬を伝う。
なんで気付いた時には、もう遅いんだよ。
お前への気持ちに気付いたのは、お前が死ぬ一週間前。
この手紙に気付いたのは、お前が死んで5年後。
「なんで俺、いつも遅いんだよ…?」
涙を流す。
声を殺して、風を浴びながら――
悲しみと後悔を抱きながら、俺は泣いた。
手紙なんて、普段書かないくせにこんな時に書くなよ。
馬鹿野郎――
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