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名も無き物語

短編 合わせ鏡

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俺達はずっと一緒にいた。
産まれた時からずっと、今まで。
初めてのキスもお前とだった。
興味本位でふざけてやってみた。
最初は触れるだけの、挨拶程度のキス。
でも中学になってからはそれ以上の事に興味を持った。
初めてのディープキスもお前と。
初めてのセックスもお前と。
お前と一緒に同じ時間を過ごしたんだ。
お前と同じ事をしてきたんだ。
だって俺達は、向き合えば合わせ鏡ようだから。
俺達は二人で一人。
手を繋ぐ度に、キスをする度に、身体を重ねる度に感じた。
その時だけ俺達は一つになれるんだって――

ずっと同じ時間を過ごしてきたお前が突然言い出した。
「あのさ、好きなんだけど」
「何が?」
「兄ちゃんの事」
「――何それ」
こいつ、何言い出すんだ。
「いつから?」
「兄ちゃんと初めてキスしてヤった時から」
なんだよ、それ。
「――兄ちゃんの事、好きなんだ」
――双子は同じ物を好きになって、好みが同じで、考える事も同じ。
だからきっとこんな事を言い出すだろうとは思ってた。
「兄ちゃんはね、僕だけのものなんだ。ずっと一緒にいたし、兄ちゃんの事をわかってあげられるのは僕だけなんだ」
でもこいつは、少し壊れてる。
ガキの頃からみんなに虐められて、親にも虐待を受けた。
心を壊してるんだ。
こいつの傍にはいつも俺がいた。
俺がいなくちゃダメなんだ。
俺じゃないと、ダメなんだ。
「今までは兄ちゃんが僕を守ってくれたけど、今度は僕が兄ちゃんを守るね」
「何から?」
「この世界の全てから。兄ちゃんを傷付ける奴は僕が片付ける。だから、兄ちゃんは僕だけ見てて。僕だけ愛して。僕だけ抱き締めて。僕以外の人を見たら嫌だ。僕以外の人に話し掛けるのも嫌だ。兄ちゃんは頭から爪先までぜーんぶ僕のものなんだ。そうだよね?」
「そうだよ」
お前が望むなら、俺は一生お前の傍に居てやるよ。
お前が泣く姿は見たくないから。
俺を閉じ込めたっていい。
お前がもう人を殺さないなら。
俺はお前だけを見て、お前だけに触れて、お前だけを愛するから。
「だから、兄ちゃんは僕の愛を受け入れてくれるよね?」
ああ、受け入れるさ。
例えお前にナイフで刺されたって、殴られたって、殺されようとも、お前を愛し続けるさ。
「受け入れるに決まってるだろ。お前には俺しかいないんだから」
「そうだよ。僕には兄ちゃんしかいない。兄ちゃんも僕しかいないんだから」
「そうだな」
「秘密を抱えてるのも、僕達だけなんだから」
――そう、俺達は罪を犯した。
こいつは母親を包丁で刺し殺した。
父親はまだ生きてたから俺がトドメを刺した。
あの時の血塗れのお前の姿は今でも忘れない。
お前は嬉しそうに笑ってたんだ。
両親の血を浴びて。
それを見て俺は――
お前が綺麗だと思ったんだ。
「そうだな」
「ねぇ、兄ちゃん。僕を愛してくれる?こんな僕を受け入れてくれる?」
俺は優しくお前を抱き締める。
そしてお前の耳元で囁く。
「当たり前だ。俺とお前は死ぬ時も一緒だ。だってな――」
俺達の向かいにある鏡を見つめる。
俺は全身血だらけ。
俺の手にはナイフ。
足元にはお前を俺から奪おうとした奴が転がってる。
こんな俺をお前が愛してくれるんだったら、俺だってお前を愛するさ。
「俺も、狂ってるから――」
心を病んだお前と、お前の事が愛しすぎて狂った俺。
まるで、合わせ鏡みたいだろ――?






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